「Creators MeetUp#48」@コワーキングスペース茅場町 Co-Edoで発表したLTのスライドです。
これからのデザインの仕事について考える
デザイナーを取り巻く環境はどんどん変化していると感じています。
ひとつひとつ丁寧に積み上げていくデザインの重要性はもちろんありますが、時代が求めているものは変化に強いスピードのように考えています。
どちらかというと良いモノを作られればそれにこした事はありませんが、それらが求められるものは予算が潤沢にある一握りの大企業に限られます。
個人的には予算の限られた事業者さんを応援していきたいので、同じような予算と時間をかけるわけにはいきません。
デザイナーの役割は変わっていく
全てのデザイナーが変わるわけではありませんが、多くのデザイナーのお仕事の内容は変わると考えています。
自動でレイアウトしたり、HTMLの知識なく簡単にクオリティの高いホームページが作れてしまうサービスがどんどん出て来ています。
素人でもある程度のクオリティが出来てしまうようになるという事は、「ホームページを作る」という技術的な部分の価値は大きく変わります。(技術に特化したエキスパートは別)
多くのデザイナーは今までと同じようなやり方では顧客が依頼する理由が薄れてしまいます。
ただ、誰でも比較的高いクオリティでホームページを作る事が出来る世の中になったら、内容についての差がつきやすいとも言えます。
本来デザイナーの持っている設計や企画面についての価値の大きさをみなさんが理解する時代になると考えます。
中小企業アドバイザーでの経験
中小企業に対し派遣専門家として支援を行っているのですが、大きなきっかけになった事がありました。
とある家具屋さんの事業の立て直しでちらしの内容を考えるという支援に行きました。
多くの中小企業の抱える下請けから脱却できない問題を抱えて、他に何かできないかという事で家具の修理を売りにしたいのでちらしの内容を考えるお手伝いの依頼でした。
ちらしの内容を考えるためにヒアリングをして強みやビジョンを引き出しながら構成をまとめていったのですが、「依頼先のデザイナーさんとか決まっているのですか?」と聞いたらそこの奥様が予算もないので自分で作り、ちらしは自分達で配布するとの事でした。(デザインの経験もありませんし、PCも使えないので手書きです)
事業への思いもあり強みもあるのですが、予算の関係で通常なかなか出会う事の無い層だったので個人的には新鮮でした。
あがったちらしも最初は太字マジックで書かれていて文字が読めないような状態でしたが、でも思いを込めて強みも出したちらしは結果的に黒字化へと繋がりました。
事業者さんの強みをお客さんの需要や求める事とつなげる事で結果は出せるのだなと感じました。
デザイナーとしては良いものを作るのも大事なのですが、設計や企画がしっかりしていれば成立する事を改めて認識できました。
デザイナーとしての強さ
設計や企画は一朝一夕では出来ません。いろいろな経験や知識、日頃からの積み重ねや訓練が必要です。
しかし設計や企画は世間一般では価値も理解されておらず評価もされていません。そこにお金を払う事も理解されてない部分もありますが、それはあと数年だと個人的には思っています。
便利なツールが出て来て「作業をする事」が誰でも作る事が出来るようになった時は、小さな事業者さんでも必ず設計や企画が重要になると思っています。むしろ今までやってないところも多いので結果に繋げやすいと思います。(価格などの課題はありますが工夫や仕組み次第でなんとかなると思っています)
個人的にはWordPressでの制作案件が多いのですが、最近はゼロから作らず大枠はテンプレートを使用し、打ち合わせに時間をかけ中身をしっかり作っていく方向の制作案件も増えています。
自動化や便利なツール以上に丁寧にクオリティの高いものを作る方向へ進む人もいれば、スピード感とフットワークの軽さで進む人、設計や企画で価値を生み出す人などいくつかの方向性があると思いますが、僕は設計や企画に強く作業を極力しないデザイナーになろうかなと思っています。
ちょっと先の未来を見ながらお互いに頑張っていきましょう。
終わり。